前回は、籠利さんと谷田部さんがポニーズ結成前に参加していたバンド「バインズ」について書きましたが、今回は、ポニーズ結成前の原田正美さんの活動についてです。
荒木一郎さんのバックバンド「マグマックス・ファイブ」のことや、それ以前のアマチュア時代のお話です。
アマチュア時代の原田さん
まずは、マグマックス・ファイブ参加前、原田さんのアマチュア時代のお話からです。
原田さんは、男性5人でヤングフェローズというバンドを組んでいました。
そのバンドのリードヴォーカルを女性に変えて、『勝ち抜きエレキ合戦』や『世界へ飛び出せ ニューエレキサウンド』等のTV番組に出演。
TV番組でサベージ(寺尾聰がいたグループ)と競演したこともあるそうです。
現在もトップギャランで一緒に活動されている小原重彦さんとは、高校時代のバンドから一緒に活動されていたそうです(お二人は同じ高校で、小原さんが2年先輩)。
小原さんとは、高校卒業後も、上記のヤングフェローズや ヤングビート(バンド名はその都度変更)といったバンドなどで一緒に演奏。
アマチュア時代は、ダンスパーティーや米軍基地、ホテルのプール、ゴーゴークラブ等に一緒に出演されていたとのことです。
荒木一郎のバックバンド「マグマックス・ファイブ」参加
原田さんがマグマックス・ファイブのメンバーになったのが1966年(昭和41年)。
参加のきっかけとなったのは雑誌の記事です。
週刊誌に荒木一郎さんのバンド募集の記事が掲載されていたのを見て、バンド仲間(小原さん・平野さん・市川さん)と一緒に応募。
今でいうオーディションのようなものをバンド仲間と一緒に受けて、荒木一郎さんのバックバンドに決まりました。
オーディションは荒木さんの自宅で行われたそうで、荒木さんから一枚の楽譜を渡されて演奏し、バックバンド採用が決まりました。
マグマックス・ファイブはいずれのレコードの収録にも参加しておらず、ライブ演奏のみの活動でした。
また、荒木一郎主演の『日本春歌考』という映画に出演したこともあります。
マグマックス・ファイブのメンバー
マグマックス・ファイブのメンバーについて、これまでちゃんとした情報を見つけることができずにいたのですが、今回、メンバーの詳細について伺うことができました。
- 小原重彦(ベース)
- 原田正美(ギター)
- 平野民樹(ドラム)
- 市川博(ビブラフォン)
- 鈴木道夫(ギター)
- 佐藤真栄(ギター)
- 橋本(ギター)
- (山川 ???)
鈴木さん以外の初期メンバーと、後から参加した佐藤真栄さんは、法政一高の同窓生。
ギターの鈴木道夫さんは、荒木さんの青学の友人で、初期メンバーのなかで唯一 オーディションには参加されず、助っ人ギターでマグマックス・ファイブに加入されたそうです。
初期メンバーのなかで、原田さん・市川さん・鈴木さんは途中で脱退されます。
橋本さんは、原田さんの代わりに加入された方。
佐藤真栄さんは、鈴木さんの代わりに加入されました。
山川さんについては、詳細不明です。
松竹映画『日本春歌考』への出演
マグマックス・ファイブは、大島渚監督の『日本春歌考』(松竹/1967年2月23日公開)という映画に出演しています。
主演は荒木一郎。
タイトル通り、春歌を題材とした作品です。
この映画には、マグマックス・ファイブのほかにも、
♣ヴェーグラント・クヮルテット
♣ロンサム・トラベラーズ
♣ザ・ペニーズ
というグループが出演しているようです(OPクレジットより)。
マグマックス・ファイブが登場するのは、ベトナム反戦フォークソング大会が開かれている場面。
『This Land Is Your Land』『We Shall Overcome』『若者たち』など歌う学生たちと、それに対抗して歌われる『ヨサホイ節』と『満鉄小唄』…。
フォークソングと春歌が入り乱れる、混沌とした空気。
そんな、とても印象的なシーンに登場します。
原田さんも他のみなさんも、メチャクチャ若い!当たり前だけど!!笑
そして、みなさん、とても爽やかな笑顔で爽やかな歌声を響かせていたかと思ったら、実はゲス男子の集団だった…という衝撃の展開が。
(※役柄がゲスなだけであって、マグマックス・ファイブは決してゲスではありません。)
撮影時、バンドメンバーに池に入れという要望があったそうですが、真冬の真夜中だったのでお断りしたそうです。
見るからに寒そうですものね。
メチャクチャですね(笑)
マグマックス・ファイブは、ほかに映画やドラマなどの出演はなく、これが唯一の映画出演。
この時代の原田さんたちのお姿をカラーで拝見できる、貴重な作品です。
ファンの皆さま、ぜひご覧くださいませ♪
現存するTBS「歌のグランプリ」の映像
荒木一郎とマグマックス・ファイブが出演したTBS「歌のグランプリ」という番組の映像が現存します。
この映像は、マグマックス・ファイブの末期の映像のようです。
残念ながら、原田さんは脱退された後で映っていません。
また、市川さん・鈴木さんも脱退されています。
この映像に映っているのは、
・ドラム:平野民樹さん
・右奥:小原重彦さん
・右中:佐藤真栄さん
・右手前:山川さん
原田さんの代わりに加入された橋本さんは出演していなくて、山川さんという方が出演されています。
このへんの経緯や山川さんについては詳細不明です。
マグマックス・ファイブ脱退、そして新たな道へ…。
荒木一郎さんのバックバンドとして活躍したマグマックス・ファイブですが、その活動期間は意外にもあまり長くはなかったようです。
まず、ビブラフォンの市川さんが先に脱退し、その後、原田さんが脱退。
原田さんは、荒木さんとの音楽の行き違いから、1967年(昭和42年)にマグマックス・ファイブを脱退します。
マグマックス・ファイブを脱退した原田さんは、新たに自分のバンドを結成するため、メンバー集めに奔走。
その時期に、新宿のフォーク喫茶「フォーク・ビレッジ」の社長と出会います。
この出会いが、後のポニーズ参加へと繋がります。
そして、原田さんの脱退から1年持たずに、残ったメンバーも荒木さんから離れ、小原さん・平野さん・佐藤さんは、スカイ・ホークスというGSを結成します。
『天国からのお迎え/リボンの娘』という曲をリリースしています。
2曲とも「カルトGSコレクション(コロムビア編)Vol.2」というCDで聴くことができます。
ちなみに、このCDにはポニーズの『雨降る街角』も収録されています♪